標記資料(WIPOホームページ参照)について雑感をあれこれツイートしたので、まとめて紹介。ツイートを貼り付けるだけだと少々見づらいので、2つ目以降はテーマ別に箇条書きにしておきました。
なお、この資料はざっくりいうと、WIPO(世界知的所有権機関)が、各国・地域の特許オフィスにおける特許・商標等の出願・登録の状況等について、統計データを整理したものです。毎年この時期に、前年分のデータが公表されています。当事務所のニュースレターの一つ「Client Alert」でも、毎年わたくしが記事にしていました。
受付国別特許出願数。2015年は中国が110万件まで伸ばし、米国58万、日本32万、韓国21万と続いた。元データはこちら(https://t.co/t0nBDeB6CE)。 [日経] 中国、特許出願数で独走 米日韓3カ国分並み https://t.co/V75VKtSP8L
— 弁護士 増田 雅史 (@m_masuda) 2016年11月24日
特許権について
- 興味深い点をいくつか。PDF22枚目をみると、中国での出願数は突出しているものの、非居住者による出願はまだ米国向けが圧倒的に多い。というか、米国での出願は、過半数がNon-residentによるもの。
- 24枚目には、5極特許オフィス(日米欧中韓)の1883年からの特許出願数推移が折れ線グラフでまとめられている。日本だけが尻すぼみであり、これは見ていて悲しい。
- 45枚目によれば、2010~13年の4年間での出願数トップ企業はパナソニックの34,352件、上位には日本企業がずらり。しかし2015年のPCT出願数は(61枚目)ファーウェイの3,898件が突出。
- 50枚目には、技術分野別の出願数推移がまとめられている。2005年から2014年までの間に最も出願数が成長した分野はFood Chemistryで、10.7%の成長率。
- 62枚目のA50は、PCT出願の出願人所属国別の件数。トップは米国の57,121件で、日本44,053件、中国29,837件と続く。中国企業は、まずは国内出願に熱心だが、日本は遠からず抜かれそう。
- 65枚目のA55は、実用新案の出願数について。以前からの傾向であるが、中国だけが突出しており、他国ではほとんど用いられていない(桁が2つ違う)。
商標権について
- 商標についても見てみましょう。PDF77枚目のB10によれば、中国が2位の米国を大きく引き離して、けた違いの出願数であることがわかります。その数、米国の約52万件に対し、280万件超。我が国は35万件弱。
- 100枚目のB31によれば、2015年のある時点での登録商標数は、中国が1,000万件超で、米国の約5倍です。我が国も米国と同じくらいで、3位の約180万件。
意匠権について
- 意匠権はどうでしょう。PDFの115枚目によれば、これも中国が突出しています。我が国は1980年ころをピークに下降線。
- 119枚目をみると、特許や商標の傾向とは異なり、近年のグローバルでの出願数は伸び悩む。産業の、モノからサービスへの移行を反映したものでしょうか。
- ハーグ条約に基づく意匠出願の企業別数(PDF134枚目)は、サムスンが2位にダブルスコアの1,132件。中国企業は見当たらず。特許についてはPCT出願のトップがファーウェイでしたが、これとは傾向が異なるようです。
余談:ちょっと特殊なCCライセンス(バージョン3.0ですが)