月別アーカイブ: 2016年10月

【審判】 商標無効の請求が成り立たないとの審決を獲得した公表事例

(2014年2月7日の審決です)

第三者から商標無効の審判申立てを受けたレストラン情報提供サービス企業を小職らが代理した審判事件で、請求が成り立たないとする審決が公表されていますので、メモしておきます。

本件で無効審判申立ての対象とされた登録商標は、「ぐるなびギフトカード 全国共通お食事券」の標準文字商標(第5459425号)です。申立人は、以下の諸点を無効理由として主張しましたが、いずれも否定されました。

  • 商標法4条1項15号 (他人の商品・役務との混同のおそれ)
  • 同10号 (他人の周知商標との同一・類似の商標の、同一類似の商品・役務への使用)
  • 同16号 (商品・役務の質を誤認するおそれ)
  • 同19号 (他人の周知商標との同一・類似の商標の、不正目的での使用)
  • 同7号 (公序良俗違反のおそれ)

審判番号 無効2013-890011

結  論

本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

具体的な審決については、以下のリンク先をご覧ください。

http://shohyo.shinketsu.jp/decision/tm/view/ViewDecision.do?number=1299554

【新著】Google Books 裁判資料の分析とその評価―ナショナルアーカイブはどう創られるか

(2016年10月29日追記 : 記事末尾に実物の書影を追加しました。)
(2017年1月16日追記 : 上野達弘教授による書評について追記しました。)

新著『Google Books 裁判資料の分析とその評価―ナショナルアーカイブはどう創られるか』商事法務さんより近日中に刊行されます。法律雑誌「NBL」で逐次掲載してきた論文等をまとめなおし、若干の分析や資料を追加したものとなります。当事務所の松田政行弁護士との共著です。

isbn978-4-7857-2474-0

私にとっては、三冊目の著書となります。2012年の『デジタルコンテンツ法制』(朝日新聞出版。生貝直人東大客員准教授との共著)、2014年の『インターネットビジネスの著作権とルール』(CRIC。福井健策弁護士、杉本誠司ニワンゴ社長、池村聡弁護士との共著)、そして本書。

Google Books訴訟自体は、本ホームページに全文を転載しました記事でも解説しましたとおり、昨年の控訴審判決でほぼケリがつき、今年4月の最高裁決定で完全に終結しています。そのため、本書が扱う内容は特に新規なものではありません。

もっとも、原被告が当初公表した和解案は、Googleが電子化した全世界の書籍を、個々の著作権者の具体的なアクションによらず広範に利用することを可能としうる、きわめて意欲的・挑戦的な内容でした。これを日本語で精緻に解説したものは他になく、今でもその価値は高いと自負しております。実際、本出版のために全記事を読み返しましたが、最も読み応えがあるのは初期のものでした。

思い返せば、私は本件のクラスアクション和解案が全世界的な話題となった2009年1月ころに弁護士として執務を開始しましたが、その直後に複雑怪奇な上記和解案と格闘することとなりました。日本書籍出版協会向けの解説講演(4月)と、NBL誌への執筆(5月)をすることとなったためです。それ以来、結局7年にも亘って本件を追い続けることとなりました。

その間、本件への政府としての対応を検討する必要から経済産業省への出向(2009年9月~2010年3月)を経験し、それを足掛かりとして様々な経験を積むこととなります。本件が私の最初期のキャリア形成に大きな影響を与えた事件であることに疑いはありません。奇しくも私の米国留学中に本件が終結を迎え、本書の出版に至ったことには、たいへん感慨深い思いがいたします。

公式には発売日が11月10日となっていますが、おそらく11月頭ころには手に入るのではないかと思います。アマゾンでも予約できますので、もしよろしければお手に取っていただければと思います。

[追記]大変ありがたいことに、早稲田大学の上野達弘教授から、NBL 2017年1月15日号 (1090号) 88頁にて書評を賜りました。一部抜粋させていただきます。

「本書は、本訴訟に関して他の追随を許さない網羅的資料として将来に残る価値を有することはもちろん、ナショナルアーカイブ構想に関しても、本訴訟の研究成果を踏まえた説得的かつ具体的なイメージを発信するものとなっている。昨今、日本では、米国法上のフェアユース規定に示唆を受けつつ柔軟な権利制限規定のあり方が議論されており、Google Booksのような所在検索サービスについても立法論が検討されている。また、ナショナルアーカイブ構想についても近時さまざまな動きが見られるところである。このような状況においてタイミングよく本書が上梓されたことは慶賀に値することであり、幅広い関係者にとって必携の書と言えよう。」

2016-10-29-22-43-37