2015年スタンフォード合格に至るまでの受験プロセス

スタンフォード・ロースクールへの留学が決まってから、丸一年くらい経ちました。当時どのように準備を進めていたのか、忘れないうちに概略をメモしておこうと思います。

1.TOEFLの受験

最初に始めるべきは、TOEFLの勉強とスコアの確保です。昔から英語が苦手だった私は(TOEFL初受験のスコアは50点…)、これに最後まで苦しめられることになります。通算20回くらい受験しました。(ビジネススクールに行く方はGMATも受けているんですよね、頭が下がります。)

最後までよいスコアが取れなかったため、英語について何か皆様にお伝えできることはほとんどありません。勉強に使わせていただいた2つのサービスを紹介するにとどめます。

2014年1月、つまり出願の1年くらい前に、勉強をスタートするために始めました。当該コースの受講要件はTOEFLで70点取っていること。私の当時の持ちスコアはちょうど70点でした。2か月間の詰め込みコースで、勉強をする習慣を強制的につけるにはよかったと思います。

Andy先生という個人の方(TOEFLで120点を目指している技術通訳者)による、1日だけの勉強会です。こちらでお勧めいただいた中国・韓国の教材は、日本のどの教材よりも役に立つように思います。特に韓国のDavid Cho 『Hackers TOEFL Listening 3rd iBT Edition』 は最後まで愛用しました。

わが身を振り返って申し上げると、英語が苦手だという自覚があるならば、もっと早く準備をすべきだったと思います。一部ロースクールのEarly Periodは9月か10月くらいが締め切りだったと思いますので、そこから逆算すべきでしょう。

2.その他の出願準備

主に必要だった準備を紹介します。

(1) LSACへの登録

LSACとは、簡単にいうと出願書類等を取りまとめてくれる団体です。ほとんどのロースクールは、LSAC経由での出願を必須としています。留学前年の9月20日に登録しましたが、特に遅いということはありませんでした。

(2) 出願先の検討

どこに出すかによって、準備の負荷や内容が大きく変わってきます(特にエッセイの準備)。日本で手に入る情報には限りがありますので、US Newsのロースクールランキング(当時見ていたのは2015年のもの)を参考に、他の日本人の留学実績も見ながら、出願先を決めていくことになります。

このランキングは、あくまで主にアメリカ人が通う3年課程(JD課程)のものですが、LLM課程について満足なランキングが存在しないため、LLM出願をする外国人も、通常はこのランキングを参考にしているのではないかと思います。

私は、夏あたりに一覧表を作り、各ロースクールの出願開始・出願期限、TOEFLのリクワイアメント、エッセイの上限枚数・ワード数、推薦状の必要数・上限数、出願の優先順位などをまとめました。UC Berkeleyが第一志望、UCLAに行ければ不満なし、Stanfordは宝くじ(行けるはずがない)と思うようにしていました。

(3) レジュメ(CV)の作成

要するに履歴書です。だいたい、2枚にまとめる必要があります。過去の出願者の履歴書をいくつかサンプルとして手に入れて、そのフォーマットを真似て自身のCVを作成しました。

私の場合、事務所外での活動実績(大学講師、政府への出向、執筆など)がたくさんあったため、それをふんだんに盛り込むことによって、他のLLM受験生との差別化を図りました。普通に作成すると情報量が多く2ページを大きく超えてしまったので、頑張って記載を切り詰めつつ、最終的にはフォントサイズを12ptから11.5ptにするという姑息な手段を使ったりしました。

(4) エッセイ(PS)の作成

パーソナル・ステートメントなどと呼ばれたりもします。出願先によって要件は様々ですが、おおむね書くことは、(A)自分は何者か:WHO、(B)なぜ留学したいのか:WHY、(C)留学先でどうしたいのか:WHAT・HOW、の3点です。この3点に強い関連性があるストーリーが描けると、良いステートメントといえるようです。

これをロースクールごとにアレンジする必要があり、また、ロースクールによって必要な文字数も大きく違うので、TOEFLを除けば一番大変な準備でした。スタンフォードは出願時期が早く、また分量の制限も他校と比べ緩やかだったので(その分たくさん書ける)、まずスタンフォード用を準備し、それを出願期限に応じて各校にアレンジしていく、という作業をしました。

(5) 推薦者の検討、推薦状の作成

出願先によって必要数が異なりますが、おおむね、(A)アカデミック1通(大学の教授など)、(B)プラクティス1通(当事務所のパートナー弁護士など)の2通が最低限必要です。どちらも、著名な人物であるかどうかよりも、実際に出願者と近い距離にあって評価者として適しているかどうかのほうが重要なようです。必然的に、盛り込むエピソードにも具体性があることが好ましいといえます。

私の場合、(A)については日本のロースクールで親しくさせていただいている元裁判官の教授、(B)については当事務所の元パートナー弁護士で某IT企業の法務部長をされている方にお願いし、かつ、一部のロースクールについては(C)当該ロースクール出身の当事務所パートナー弁護士にお願いしました。

なお、実態としては、少なくとも下書きは自分で行うことが通常です。推薦状のLSACへの提出に至るまでの手続きはいささか面倒であり、下書きの推薦状から最終版にするまでの間にお忙しい推薦者の方々の手を煩わせることになりますので、準備は早めにすべきです。

(6) 卒業証明書・成績証明書の準備

大学学部、ロースクール、司法研修所のそれぞれについて、証明書を準備する必要があります。これもLSACに送り、LSAC標準の評価機関に成績を4段階で評価されることになっています。

各教育機関とも、LSACへの送付手続には結構慣れているようです。私の場合は学部が工学部ですが、大学等への証明書の直接送付自体はよく行っているようで、依頼をする際にカバーレターに説明をつけさえすれば、スムースに手配していただけました。

ところで、東大は1~2年生の教養学部時代と、3~4年生の各学部時代とで、成績証明書が分かれています。私は工学部時代の成績は良いものの、教養学部時代の成績がイマイチだったので(怠惰な学生でした)、工学部時代の成績だけを提出してお茶を濁そうと試みました。結果、目敏くその点を指摘し追加提出を求めてきたのはミシガン大学だけでした。そもそも一般的には、First Law Degreeを取得した際の成績以外は軽視される傾向にあるようでして、小手先の策としても、それほど意味はなかったかもしれません。

(7) 電話面接対策

一部のロースクールは電話面接を最後の選抜プロセスに含めており、そうした大学に出願する場合には対策をすることになります。具体的には、スタンフォード大学、ノースウェスタン大学、ボストン大学です。

  • スタンフォード大学 – 電話面接のプロセスがあることはホームページのどこにも書かれておらず、実際、これを経ずに合格する方もいらっしゃるようです。面接がある場合、突然電話が来ます。私の場合、2月24日午前に当事務所まで電話があり、不在のため秘書が応答した結果、メールで日程を調整することになり、3日間の準備期間を取れました。当時、スタンフォードに合格する可能性はゼロだと思い込んでおり(なにせ出願時のTOEFLは93点…)、全く準備をしていなかったため、これに救われました。面接は20分程度で、TOEFLの点数が低いことをバッチリ指摘されましたが、終了後にお礼のメールを送ると、「TOEFLの点の割には喋れていたね。」というコメント。
  • ノースウェスタン大学 – 電話面接が必要であることを明示していますが、実際に予約システム上で日程を確保しようとすると、出願期間中にもかかわらずすでに枠がすべて埋まっていました。エッセイの最後にその旨を記載し、結局は面接を受けないまま合格しています。
  • ボストン大学 – 受験していないのでよくわかりませんが、体験者のBLOG記事によれば、面接自体はほぼ必須で、直接出向いて面接を受ける方もいらっしゃるようです。

(8) キャンパスビジット

私はどこにも訪問しませんでしたが、事前にキャンパスを訪問しておくことは、以下の2つの意味でプラスだと言われています。

  • キャンパスを訪問したこと自体をエッセイに盛り込むことで、志望度が高いこと、大学のことをよく理解したうえで志望していることを明確に伝えられる。(当然、ロースクールの学生と話をした、教授に会いに行ったなどの具体的な記載ができるように、現地で慎重に行動する必要がある。)
  • 選考にかかわる人物と直接面会することができれば、具体的に熱意を伝え、印象を残すことができる。(スタンフォードの場合、これで問題なければ電話面接が省略されることもあるようです。)

なお、一連の出願準備については、内容や手続きに大きなエラーが生じないか心配だったので、以下のサービスに頼りました。

長年にわたりアメリカ大学院への出願指導(主にLLM?)をされている岩崎先生という方に、Skype経由で毎週ご指導をいただくというサービスです。

3.各ロースクールへの出願と合否

実際の出願日と結果を、結果が出た順番に記していきます(すべて日本時間)。なお、13校も出願していますが、普通はこんなに出願しないようです…。

<追記:各校の名前のあとの数字は、US Newsのロースクールランキング2016年版における各校の順位です。あくまで参考程度ですが、合格難度との相関関係がそれほど感じられないと思います。TOEFLの点数が良くなくても拾ってくれる可能性のある学校と、そうではない学校(文字通りの足切り)とで、対応が分かれているのではないかと推察します。事実、私は合格校のうちUSC以外の要求点数を満たしていません。逆に、NYUは合否判明前に取り下げたものの、合格可能性は無かったと思います。>

  • UCLA School of Law – LL.M. in Entertainment, Media & IP Law [16]
    1/22 出願 → 2/27 合格通知 (当日はスタンフォードの電話面接だった。)
  • Stanford Law School – LL.M. in Law, Science and Technology [2]
    12/2 出願 → 3/7 合格通知 (まさかの合格。ここで事実上の終戦。)
  • UC Berkeley School of Law – LL.M. Traditional Track [8]
    1/9 出願 → 3/16 合格?通知 (Professional TrackならOKという通知。ある意味不合格。)

結果だけ見ると万々歳ですが、TOEFLの点が最後まで伴わなかったため、ほとんどの学校で期限ぎりぎりに出願していますし、出願後に得たより良いTOEFLのスコアを各校に連絡するという苦し紛れの策を弄しています。(スタンフォードの合格通知は、最後に泣きのTOEFLを受けようと出かける直前に届きました。3月になってもTOEFLを受けようという受験生はほとんどいません。)

これは本来まったく好ましくありません。来たものから順次見て合否判定する学校もあるので、早ければ早いほど良いといえますし、何よりギリギリだと手続きのエラーを誘発します。ロースクール受験を検討される方々にお伝えしたいことは、とにかくTOEFLの準備をお早めに、という点に尽きます。あとは時期を間違えなければ、おおむねどうにでもなります。ご武運を。

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